今から55年前、分厚い板に「テレビ修理専門店」と自分で書いて、玄関に取り付けたのが商売の始まりでした。その時代のテレビは真空管式で、まだまだ各家庭にはありませんでした。たまたま家の前に織物工場があり、その会社の社長に初めて納品させてもらいました。そのテレビは、部品一式を大阪の日本橋で買って自分で組み立てたテレビでした。1つ1つ部品を取り付け、完成したら測定器で調整し、放送の時間まで待って、ブラウン管に映ったら納品する。映像を見ながら調整するため、放送がなければできません。今のように常に放送してはいませんでした。力道山のプロレスの時は長くやってくれて助かりました。そのテレビを見せてもらいに近所の人が集まっていました。その後だんだんとテレビが売れてきて、組み立てが追い付かず、松下電器の販売会社との取引が始まりました。最初は営業マンが来て、「まだ店舗おまへんのか」と言って帰っていきました。それから玄関のところをリフォームして少し店舗らしくなって、商売もだんだんと忙しくなりました。今までは無我夢中でやってきましたが、これからはお客様に信頼され愛される店になり、自分も信用してもらえるようにがんばらないとと思っています。